菅井竜也新王位誕生の原動力「三間飛車の新序盤」
菅井竜也 新王位
王位戦七番勝負で見せた巧みな序盤戦術
王位奪取の原動力ともなった三間飛車戦法について今回はご紹介します。
王位戦の第六局目の中継解説で今泉四段の言葉が記述されています。
「2、4、6手目ではなかったね。10手目が正解だったわ」
それは菅井王位が10手目に3二飛車と三間飛車に構えたことに対する感想です。
こちらが10手に3二飛車とした局面です。
ちなみに手順は初手から
7六歩、3四歩、2六歩、3二金、2五歩、3三角、同角、同金、6八玉、3二飛車
同金として金が3三に上がったので、「阪田流向かい飛車か!」との声も控室ではあがっていたようですが、実際にはその後、3二飛車と三間飛車に構えます。
おそらくプロの将棋史上この局面になったのはこの羽生対菅井の王位戦第六局が初めてでしょう。
そしてこの独創的な構えから勝利したのは菅井新王位だったということからも、戦法としても十分成り立っていることが証明されています。
そして近年、三間飛車戦法には斬新な序盤工夫がなされ、将棋の可能性に広がりを見せています。
ここからは先ほど記述した気になる2,4,6手目に3二飛車とする三間飛車をご紹介していきます。
- 2手目に3二飛車
これは今泉四段が創案し、升田幸三賞をも受賞した画期的な指し方
「論理的に不可能だと思っていた」
「コロンブスの卵的な大きな発見」
このように称賛と驚きの感想が寄せられています。
- 4手目に3二飛車
もちろん、このあと角交換されてからの乱戦にも対応可能な定跡研究があります。
- 6手目に3二飛車
ゴキゲン中飛車の出だしかと思いきや、飛車は5筋を通り越して3筋に
これは王位戦でも菅井新王位が採用していました。
最後にこんなのもあります。
- 初手に7八飛車
どれもこれも角交換からの乱戦が怖い…
このように考えてしまうのも無理もありません。
なぜなら、そもそもこのような指し方は成立せず、「振り飛車側の不利」と昔の定跡では結論付けられていました。
しかしその定跡に果敢に挑み、「革命的新手」を発見した棋士の方々はやはり「天才」です。
その後の詳しい変化手順はこの記事ではご紹介しませんが、将棋は本当に深く、よくできてるなと感心せざるを得ません。
これだけで勝てる 三間飛車のコツ (マイナビ将棋BOOKS)
- 作者: 大平武洋
- 出版社/メーカー: マイナビ出版
- 発売日: 2017/02/23
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 戸辺誠
- 出版社/メーカー: 毎日コミュニケーションズ
- 発売日: 2009/04/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (4件) を見る