木村一基 悲願のタイトル獲得

 

 

「負けと知りつつ、目を覆うような手を指して頑張ることは結構辛く、抵抗がある。でも、その気持ちをなくしてしまったら、きっと坂道を転げ落ちるかのように、転落していくんだろう」 by 木村一基

 

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出典 https://cakes.mu/posts/13852


2016年王位戦七番勝負

 

3勝2負とリードし、あと一勝でタイトル獲得というところで木村一基は第6局、第7局と羽生善治王位(当時)に連敗しタイトルは初獲得にはなりませんでした。

対局後のインタビューで最後に「シリーズ全体の感想」について、木村八段(当時)から声は出ませんでした。


「将棋の強いおじさん」とファンの間では親しみを込めて呼ばれている木村一基

面白いボヤキを含んだわかりやすい解説でも定評がありますが、苦労人としても知られています。

 

6度タイトル戦に出場するも獲得ならず

タイトル未獲得でタイトル戦に6度出場は森下卓九段と並んで最多記録となっています。

そしてさらに、タイトル未獲得のままでのタイトル戦10勝(22敗1持将棋)は全棋士の中で歴代単独1位

加藤一二三九段の歴代最多敗北数のような名誉かどうかはわかりませんが、すごい記録です。


ちなみに木村先生のタイトル戦戦績はこちらです

2005年 竜王戦 木村0-4渡辺
2008年 王座戦 木村0-3羽生
2009年 棋聖戦 木村2-3羽生
2009年 王位戦 木村3-4深浦
2014年 王位戦 木村2-4羽生
2016年 王位戦 木村3-4羽生


特に2009年の王位戦での対深浦戦は3連勝から4連敗という記憶に残るタイトル戦となりました。

「(タイトル戦後)木村さんとは1年半ぐらい会話することができなかった」

と深浦九段はおっしゃられています。

「あと1勝すればタイトル獲得」の1番で最も負けてる棋士でもあります。

 

 

”百折不撓”

 

意味は

「100回折られても決して曲がらない」

「何度失敗しても志を曲げないこと」

木村一基の座右の銘です。


その言葉の通り木村一基は2019年に王位戦の挑戦者決定戦で羽生善治を破り、挑戦権を手にします。

7度目のタイトル挑戦です。

相手は豊島将之王位(当時)

現役最強との呼び声も高い棋士で、大方の予想は豊島勝ちでした。

シリーズ戦績が2勝3負になったときはもうダメか…と思いましたが

しかし、そこは千駄ヶ谷の受け師

そこから意地の2連勝でタイトルは初獲得となりました。

まさに悲願のタイトル獲得

46歳3か月の史上最年長初タイトル奪取です。

対局後のインタビューでは

家族のことを聞かれ涙した木村一基新王位

今まで支えてくれた家族のことを思うと感謝の涙をこらえきれなかったんでしょう


後日、インタビューでこの涙のことをこう振り返っています。

王位戦のインタビューで家族のことを聞かれて泣いちゃったのは、弁当を作ってくれている姿を思い出したからなんですよ。私を置いて行ったトルコ旅行のことを思い出せば、泣かずに済んだのに。このへんが、まだまだ私の未熟なところで。

 

 

 

 

 

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